本田美和子さんからの人間ドック・検診に関するあなたへのメッセージ。人間ドックや検診で早期発見・早期治療を。

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健康でいるために、満足な医療を受けるために、自分について知っていてほしい

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今回お話を伺ったのは|本田美和子(ほんだ・みわこ)さん

国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター外来医長
1993年筑波大学医学専門学群卒業後、国立東京第二病院(現・国立病院機構東京医療センター)、亀田総合病院、国立国際医療センターに勤務。98年より米国トマス・ジェファソン大学にて内科レジデント、コーネル大学病院老年医学科フェローを経て現職。2008年11月より緩和ケア科併任。99年〜08年まで「ほぼ日刊イトイ新聞」にて「お医者さんと患者さん。」を連載後、現在は「ほぼ日刊イトイ新聞」のコーナー「Dear DoctorS」で「身近な医者の底力」と題したインタビューシリーズを連載中。『Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳』を企画・監修。

本田美和子さんは老年医療とHIV治療に力を注ぐ内科医。昨年「ほぼ日刊イトイ新聞」から発売された『Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳』を企画・監修しました。アレルギーの有無や病歴、処方されている薬など、自分の体に関するあらゆる内容を書き込めるこの手帳を、「自分を知り、守るために使ってほしい」と話す本田さんに、手帳を作成した経緯を通じて、「自分を守る」ということについて伺いました。

棚卸(たなおろし)をする感覚で、自分の体と健康を意識する機会が必要

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「お年を召した方から母子手帳を使い終えたあとのお子さんまで、みなさんの健康管理のお役に立てたら嬉しいです」(本田さん)

初診の方が診察室の扉を開けて入っていらした時、私たち医師は患者さんについてまったく何も知らない状態から診察をスタートします。病気の手がかりを得るためには、今ある症状だけでなく、これまでにかかったご病気やご家族の健康状態など、その方の背景を知ることがとても役に立ちます。「3分診療」と揶揄されがちな日本の外来診療ですが、患者さんの情報を私たち医師がうまく受け取ることができれば、たとえ限られた時間であっても、その貴重な3分間で患者さんが今もっていらっしゃる問題に焦点を絞って話を進めることができますし、なにより、患者さんの時間を有効に使うことができます。そこに有意義な医療の時間が生まれると思うのです。
さらに言えば、みなさんがもっとご自分の体のことに注意を向けていただけるといいなと願っています。
私たちが病院で出会える患者さんは、ある時点で健康が破綻してしまった方に限られています。そういった方々を、私たち、医療に携わる専門職の立場からみると、現在の時点からさかのぼって、もっと早くに何か手を打っていれば、今のこの“病気になってしまった状態”は防げたかもしれない、と思うことがよくあるのです。でも、病院にいる限り、“病気になる手前”にいらっしゃる方々にはなかなかお目にかかる機会がないのですよね。このことをずっと残念に思って仕事をしてきました。
この健康手帳は、私がこれまでお目にかかる機会がなかった、「健康が破綻していない」方々に、ご自分の体について振り返っていただき、「自分を守る」ために役立てていただければ、と願いながら作ったものです。
この手帳で最も大切だと考えている点は、ご自分の健康について書くという行為を体験することです。自分の体のことを手帳に書き込むことは、これまでの自分の歴史を思い出すことにつながりますし、いわば自分の健康の棚卸をするようなものです。これが「自分を守る」ことを意識する機会にもなれば、本当にうれしく思います。

健康であることと、生きるということ

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この手帳を作るにあたって、聖路加国際病院の日野原重明先生にもお力添えをいただいたのですが、その際、「完全無欠の体と心が、健康の必須条件ではないんだ。いろんな問題はあるけれども、にもかかわらず今日私は元気に起きて、やりたいことがあって、楽しみがあって、さわやかに過ごせている、という状態も、健康のひとつのありかたなんだよ」と話してくださいました。
現在、健康が論じられる時、ともすれば「完全な体と心をもち、病気がなく、死なない」ことがとても大事だというふうにとらえられてしまっているのではないか、と感じます。でも、人の致死率は100%です。病気には防げるものもあるけれど、防げないものもあります。残念ながら防げない病気に出会うことになっても、それとともに暮らす毎日の生活は続いていきます。何かの病気があるから不健康、というわけではなく、その病気とともに暮らしながらでも、健康な生活は営めるのです。私は、ここ数年HIV感染症とともに生きる方々の診療を担当していますが、患者さんたちと接していてこのことを強く実感しています。HIVに感染していても、健康に過ごしている方々は、本当にたくさんいらっしゃるんですよ。

自分をきちんと守ってほしい。体は大事にすれば長持ちしますから

「子供の健康がとても大事なので自分のことはどうしてもおろそかになってしまう。これは仕方がないことだと思います」とおっしゃる方がいます。まさに母性の発露で、本当にそうなのだろうなと私も思います。でも、お母さんが元気でなければお子さんを元気に育てることはできないですよね。
例えば、飛行機で何かすごく大変なことがあった時には、酸素マスクが上から降りてきますが、この時、「小さなお子様連れのお客様はまずご自分のマスクをつけてからお子様のマスクを装着してください」というアナウンスが必ずあります。つまり、子供を守るためには親がまず万全を期していないとダメだということなのだろうと思います。次の世代を育てている方々にとっては、ご自分を守るということが、次の世代を守ることになります。自分の大切な人を守るために、まずご自分を大切にしていただけるといいなと思います。体って大事にすれば本当に長持ちしますから。

人間ドックも“受診して満足”ではなく、記録やその後が重要

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自分を大切にするなかで、定期的に体のチェックをすることも役に立つ方法のひとつです。人間ドックはその一例ですが、人間ドックって、検査の結果を所定が書式で一覧表に打ち出されて渡されますよね。もらったほうもAの数を数え、Cの数を数え、「ふーん」と思って終わりという方が多いのではないでしょうか。しかも人間ドックの医師はその方を継続的に診ているというわけでもありません。その方のある時点の血液検査の数値や写真をもとにした判断です。瞬間の評価としてはいいと思うんです。だけど、その、お金も医療資源もたくさん使ったものが、一瞬の通信簿みたいな感じで捨てられてしまうという状況はもったいない気がします。
継続的に体を大事にするためには、かかりつけの医師をもって自分の体の状況を説明し、「あなたはそろそろ大腸内視鏡をやったらどうでしょうか? 便に血が混じっていることがありましたし、ご家族に大腸がんの方がいらっしゃいましたよね」というように自分に必要な検査を選んで受けるほうが、無駄がないと思うんです。自分の体について継続的に相談に乗ってくれる、健康についての専門家をもっていれば、必要な検査を選んでもらい、その結果についてさらに将来にわたって相談を続けるという関係を築き上げることができます。そうすれば人間ドックはもっといいものになっていくだろうと思います。健康手帳にはドックの結果も記入できるので、受けっぱなしではなく、その結果をかかりつけ医に相談したりすることで、「自分を守る」ために役立てていただけるとうれしいです。

『Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳』

Dear DoctorS ほぼ日の健康手帳

健康を守るため、体と仲良くするために生まれたこの健康手帳は、自分の情報を書き込みながら、薬のこと、既往歴、家族歴など知っておいたほうがいい情報についての知識も得られます。自分はもちろん、家族や友人に贈りたくなる、やさしい手帳なのです。

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(本田美和子/ほぼ日刊イトイ新聞/2008年12月)

取材/光原ゆき・文/金子美和
2009/07/02 更新

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