洞口依子さんからの人間ドック・検診に関するあなたへのメッセージ。人間ドックや検診で早期発見・早期治療を。

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あなたへのメッセージ|子宮を失って気がついたこともありますでも、このつらさは誰にも経験してほしくない

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今回お話を伺ったのは|洞口依子(どうぐち・よりこ)さん

1965年東京都武蔵野市生まれ。中学3年のとき篠山紀信氏撮影の「週刊朝日」の表紙となりグラビア・アイドルに。黒沢清監督「ドレミファ娘の血は騒ぐ」(85年)で女優としデビュー。以来、黒沢清作品には欠かせない存在。04年、子宮頸がんの告知を受け、子宮、卵巣の全摘手術を受ける。数年間の闘病生活の後、當間早志監督の「マクガフィン」(06年)で本格復帰。自身の体験をつづった「子宮会議」(小学館)のリーディングとギターによるライブ・セッションが多くの女性たちの共感を呼んでいる。

個性的な映画監督たちとお約束事にはおさまりきらない作品をつくりあげてきた女優 洞口依子さん。38歳で子宮頸がんの告知を受け、子宮、卵巣を失うという過酷な体験を経てなお、女優として、ひとりの人間として歩み続ける日々をお話しいただきました。

子宮筋腫かなぁ…「がん」なんて思いもしなかった。

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2003年の夏ごろから生理が不順だったんですね。ちゃんときたかと思ったら、すぐに終わったり。それが冬ごろから出血がずっと止まらなくなって、炎症のような症状もありました。自分の体がむしばまれているんじゃないか、って変化は日に日に感じていたのに…、なぜ病院に行かなかったんでしょうね。ほんとうに。
ようやく年が明けた04年の1月に知人が紹介してくれた山王病院を受診したのですが、その日のうちに国立東京医療センターに紹介されました。その時も「お母さんが筋腫もちだから私も子宮筋腫かなぁ」くらいの気持ちでした。「がん」なんて思いもしなかった。でも先生の口から出たのは「子宮頸がんの疑い」という言葉でした。
翌日から詳しい検査が始まったのですが、結果がわかる日まで「詳しく調べたら、がんじゃありませんでした」って大逆転があるんじゃないかと思っていたのです。

女ではなくなる、その恐怖感の方が勝っていました。

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でも診断は「子宮頸がん」。がんの種類は「角化型扁平上皮がん」、がんのステージは「Ib2期」。治療として広汎子宮全摘手術を勧められました。つまり、子宮、卵巣、骨盤内のリンパ節、靱帯、膣の一部をすべて取る手術です。全摘といわれて何とか温存はできないのか、他の方法はないのか必死に探しました。
結婚して数年、子供が欲しいというのもそうですが、何より女ではなくなってしまうという恐怖感の方が勝っていました。女が女である部分、自分の存在証明みたいなものを失ってしまう。そして私は何より女としての表現、その佇まいを要求される女優です。その私から女が失われたら何が残るんだろう。どうにか無傷で残したい。民間療法でもなんでもいいから、がんを少しでも小さくしたかった。
私にとって幸いだったのは、話を聞いて、治療方法を詳しく説明してくれる先生に恵まれたことですね。同じ病院の放射線科の先生の説明で、放射線治療に気持ちが傾きもしました。でも手術で治癒する可能性は今を逃すと難しいことを知り、この一回きりのチャンスにかけてみようと決心したのです。

がんって、退院した時から本当の闘病が始まる

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8時間に及ぶ手術は無事に終わりましたが、リンパ節への転移がわかり、結局、放射線と抗がん剤を併用。入院期間は2カ月間に及びました。その間に術後に起こる排尿障害のリハビリテーションも受けました。頭では解っていたのですが、実際に自分の体にあらわれると結構つらかったですね。自分の体がコントロールできないなんて、情けなくてしようがなかった。
でも入院中は守られているんです。痛みがあればボタン一つで応えてくれる。同じ病気の方もいます。あんなに自宅に戻りたかったのに、いざ帰宅すると何をする気も失せていました。いったいどうやって元気になっていいのか全くわからない。がんの闘病記を探して読んでみても、すべてが自分に当てはまるわけではありません。前向きにいかなくちゃ、早く仕事に復帰しなくちゃと焦ってばかりいて、かえってボロボロになりました。がんって退院した時から本格的な闘病が始まるんだな、って思います。

自分のなかから生まれてくるものを、表現する

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洞口さんは著書「子宮会議」の朗読を通じて、子宮頸がん予防の啓発活動を続けている。

ようやく何かがふっ切れたのは手術後3年目の夏くらいから。その間は本当につらかった。心のバランスを崩してうつや不安障害にもなりました。病気だから、具合が悪いから、といらだちをぶつける私に周りは腫れ物でも扱うように接していました。
回復のきっかけは大好きな沖縄でした。東京にいるとどうしても焦りと不安でもがいてしまいます。でも沖縄では気ままに歩き回って、海にぽっかり浮かんでいると何ていうのかな、よけいなジャラジャラしたモノが一切落ちて、自分も海や魚や木と同じ、地球で生きている一つの生命体なんだって感じるんですね。かけがえのない恵みのようなもの。
女「性」を失い何ができるのか、本当に想像もつかなかったのですが、そんなことを危惧する前に一人の人間なんだってことに気がついた。もっと人間らしくありたいなと思えるようになったのです。それに私という存在は子宮を失っても、子供が生めなくても、確かに「女」なのです。子宮のない女。その私のなかから生まれてくるものを、ずっと表現していきたいと思います。

『子宮会議 』

子宮会議

私のような経験をする人は、もう増えないで

子宮頸がんは検診で予防できるがんです。だったら予防しなくちゃもったいないですよね。それだけなのです。私のような経験を味わう人はもう増えてほしくない。だってアタシは本当に、つらかったもの。

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(洞口依子/小学館/2007年6月)

※ 子宮頸がんは、ヒト・パピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされます。HPVは性交渉の経験がある人は誰でも感染する可能性があり、HPVの感染だけでは自覚症状はありません。また、HPVに感染した人すべてが子宮頸がんになるわけではありませんが、HPV感染から、子宮頸がんが発症するまでの間には、異形成と呼ばれる異常な細胞が子宮頸部の表面から膜の内側まで浸潤し、初期の子宮頸がんとなっていきます。子宮がん検診により異形成(前がん状態)の段階での発見が可能です。子宮がん検診を受けることで予防しましょう。

取材・文/井手ゆきえ
2009/01/15 更新

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